修学旅行最終日の様子
2024年11月15日 14時38分修学旅行最終日の本日は、淡路島にある北淡震災記念公園へ立ち寄り、宇和島まで戻ります。
昨日の雨が嘘のようにやみ、本日の卒業式は穏やかな天候となりました。卒業生の皆さんの普段の行いのおかげでしょう。1年生から6年生までが全て揃っての卒業式は、4年ぶりで、また、中等教育学校としては今年が最後となります。少子化に伴う学校の再編は時代の流れで仕方のないことかもしれませんが、寂しく思います。本日は、6年生の式に臨む態度、特に呼名時の返事、式歌、校歌を歌う態度がすばらしく、心に残る式となりました。また、卒業生代表答辞、保護者を代表された方からの御挨拶には深く感動しました。私たち教職員は、生徒を社会に通用する人材に育成しようと努めていますが、同時に生徒や保護者の皆様との関わりの中で、私たち自身が成長させていただけているということを確信しました。励ましのお言葉に感謝申し上げるとともに、本校が更に魅力あふれる地域に愛される学校となるよう邁進してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
卒業式の式辞では、以下のことを話しました。
【式辞】
鬼城の雄姿を仰ぎ見ることができる時間が日に日に長くなっており、春の訪れを日の光から感じるようになりました。
本日ここに、御来賓の皆様の御臨席と保護者の皆様の御列席を賜り、令和五年度愛媛県立宇和島南中等教育学校卒業証書授与式が、こうして挙行できますことは、在校生並びに教職員一同大きな喜びであります。学校を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました百六名の皆さん、御卒業おめでとうございます。
思い起こせば、皆さんが二年生であった三学期、新型コロナウイルスの対応で日本は緊急事態となりました。学校は突如として臨時休業となり、学校再開後も、手探りの新型コロナ対応のため、校内には異常なまでの窮屈感があり、皆さんは学校生活に不安を抱いていたことと思います。さまざまな「教育活動や諸行事は中止、あるいは延期となりました。そのような中でも、学校の方針を正しく理解し、わきまえた行動を続けてくれたこと、そして、常に自分たちができることは何かということを真剣に考え、知恵を絞り、工夫して学校を支えてくれたことに心から感謝いたします。
ようやく今年度の五月に新型コロナ感染症が五類感染症へ移行されたことを機に、学校が従来の活気を取り戻してきました。今年度特に印象に残っていることは、野球応援、体育祭、文化祭で皆さんが情熱を燃やし青春を謳歌する姿です。
四年ぶりに解禁された野球応援では、応援リーダー、吹奏楽部、ダンス部を初めとする本校応援団、それを支える生徒会、家庭クラブ員、写真部が一丸となり、六年生を主体とする野球部を懸命に応援しました。体育祭は、皆さんの学年は三クラスということもあり、通常の四団体を三団体として実施しました。そのことで、クラスごとに一致団結し、後輩を牽引しながら、競技や応援で躍動する姿や、さわやかな清々しい笑顔を見せてくれました。文化祭では、体育館ステージで活躍する後輩の姿を、ケミカルライトを手に楽しそうに応援する姿、また、キッチンカーや屋台村で購入した飲食物を手に、仲間と楽しく談笑する姿を垣間見ました。このように、本校での教育活動の一つ一つを、心を許し合えるかけがえのない仲間と共に積み重ねることで、皆さんは日々成長してきました。本当にうれしく、また、頼もしく思います。
さて、昨今は、高度情報通信ネットワーク化、グローバル化、少子高齢化と私たちを取り巻く環境は急速に変化しており、先行き不透明で将来の予測が困難な時代となっています。また、「何かがおかしい」という考える力が足りず、視野も狭いため、闇バイトなどの犯罪行為に巻き込まれてしまう若者が急増しています。そのような時代の中、より主体的に、よりタフに生き抜いていかねばならない皆さんに、大切にしてほしい三つのことを伝えたいと思います。
一つ目は、「夢を語ることができる人になってほしい」ということです。
自分の夢を語り、組織の夢を語り、夢が実現することによって、何がどう変わるかを語ってみせる。そのうえで、夢を実現するために、仲間や同僚とともに何をどうすべきかを具体的に検討する。そのようなことを通じて、互いに成長する喜びや、夢が実現したときの充実感を味わってほしいと思います。その過程では、安易に近道を選ばず、一歩一歩、一日一日を、懸命に真剣に、そして地道に積み重ねてください。大きな夢を語って笑われても、冷やかされても、一度見つけた夢はいつもあなたに寄り添い、必ず支えてくれるはずです。恥ずかしがらず、夢を語ることで人生を輝くものとしてください。
二つ目は、「シビック・プライドを持ち合わせた、地域貢献できる人になってほしい」ということです。
自分がどんなにすばらしい環境にいるのか、しばしば私たちは見失うことがあります。皆さんが本日こうして無事卒業の日を迎えることができたのは、常に変わらぬ愛情を注ぎ、励ましてくれた御家族の方々や先生方、そして何よりも地域の方々の温かい御支援があったからです。これらの方々へ感謝の気持ちは忘れないでいましょう。皆さんのほとんどは、卒業とともにこの地域を離れることと思います。社会にはグローバル化が加速し、若者の流れは地方から都心部へ、更に海外へと、生まれ育った地域、いわゆる「ふるさと」との距離を遠くしています。それは、経験を積み重ね、自らのキャリアに磨きをかけるためには、当然のことです。しかし、皆さんには、いつの日か自立した社会人として、ふるさとを誇りに思い、ふるさとを支え、ふるさとに貢献できる人材となってほしいと思います。
三つ目は、「命を大切にしてほしい」ということです。
これは、かつてプロレスラーや国会議員として活躍された故アントニオ猪木さんの「生きる」という詩の一文です。猪木さんは、国指定の難病「心アミロイドーシス」と闘いながら、衰えていくありのままの姿でメディアへの出演を続け、その命尽きるまで、「生きる」ことの尊さ、その意義を語りかけていました。
親から授かった命は大切にするもの。これから先、どんなに苦しく辛いことがあっても、決して粗末にしてはいけないものです。皆さんの周りには信頼できるかけがえのない仲間や頼りになる本校の先生方がいます。そして何より、皆さんをこよなく愛してやまない保護者の方々が寄り添っておられ、「今日が貴方にとって、穏やかで心休まる一日になりますように。そして、今日が貴方を笑顔にし、心豊かに過ごせる時でありますように。」と日々切実に願っていらっしゃることでしょう。困りごとがあれば、抱え込まず相談をしてください。どうか、何があっても命を大切にし、しなやかに生きていってください。
皆さんは、卒業後、それぞれの道を歩んでいくことになりますが、今話をしました「夢」「シビック・プライド」「命」の大切さを心に刻むとともに、校訓である「自主」「自律」「健康」の精神を一層磨き、「自ら学び、探究する心」「責任ある選択と積極的な行動」「自他の命や体を大切にする感性」を身に付けた、世の中の有為な人物となるための努力を積み重ねてください。
保護者の皆様には、本日、晴れの日を迎えられ立派に成長されたお子様の姿に、感激もひとしおのことと拝察いたします。心からお祝い申し上げますとともに、これまで本校にお寄せいただきました御支援、御協力に対しまして、改めて深く感謝申し上げます。